万里亜という名前が嫌いだった。
毎週日曜日、千絵を連れて教会へ行く。教会では牧師様が神様のお話をしてくれて、お菓子をくれた。でも貴重なお小遣いを、献金しなければならなかった。
万里亜は毎週土曜日、祖父から貰う三百円のうち、百円を献金しなければならない事が苦痛で、教会には行きたくなかった。献金は百円以上と決まっていて、十円や五十円は出せなかったのだ。その代わり、兄弟姉妹は何人いても一人献金すればよかった。
千絵は週に二百円貰っていたが献金せず、結局姉妹の小遣いは同額になる計算だった。
千絵は教会の帰りに、サンリオショップへ寄るのが好きだった。そこではキティちゃんやマイメロディ、キキララなどのかわいい文房具が売られていて、見るとどれも欲しくなった。だが、万里亜は何も買わず、千絵は持っているだけ全部使った。
時々姉は、「千絵ちゃん、少しはお金を貯めておいた方がいいよ」と口を出したが、千絵は必要ないと思われるものでも、無理矢理買った。
(買い物する事でこの子なりに、満たされない思いを解消しようとしているのかもしれない)
万里亜は、もう二年生になったというのにあまりに幼い妹を見て、そう思った。
二百円で買えないものを欲しがった時は、「二週分貯めて買うんだよ」と教えたが、結局次の週まで二百円が残っていた試しはない。学校の帰りに、駄菓子屋さんで使ってしまうらしかった。
駄菓子屋へ寄る事は、母に禁止されている。駄菓子屋へ寄った事は言わなくても何故か伝わり、千絵は何度も物差の鞭を浴びた。それでもまた、お金を持っている時には、駄菓子屋へ寄ってしまう。何故懲りないのだろう。